2015年07月 の記事一覧

映画「アドバンスト・スタイル」(原題「ADVANCED STYLE」2014年・アメリカ)

やっと観にいけたー!
老舗テレビ番組の「ファッション通信」をぼーっと見ていた時、
公開前のこの映画のこと(というより大元の本の方)を取り上げていて、
映画やるというので是非見たいと思ってました。

ニューヨークの年齢を重ねた女性たちのオシャレを取り上げた、ドキュメンタリー映画。


ADVANCED STYLE


上映時間は短かったけど、行ってよかった。
写真集もいいのだけど、実際動いて話す彼女たちを見ることができたので、映画で正解。
(でも帰ってから大元のアリ・セス・コーエン(Ari Seth Cohen)のブログをPCのお気に入りに入れたw)
彼女たちの独特のファッションスタイルはそれぞれに既に確立されていて、
その人の個性になっているのがとても素敵でした。
どこのブランドだとかそういうので考えないで、あくまで自分に似合うか、あるいは自分がどうしたいか。
それ故に、この映画を見て彼女たちのファッションを歳を重ねた時にマネしたいとか参考にしたいとかは全く思わなかったです。
だってそれはあくまで彼女たち個々の、年月を経て確立された自分のスタイルだから。
むしろ、その自由な精神に触発されるかもしれない。
(とてもエネルギッシュで、あるいは静かな波のように達観していて凄いわーって見てました(笑))

それにしても、すんごい華やかな色を素敵に着こなしてるな~と感心しちゃいました。
彼女たちの凛とした佇まいとあいまってカッコイイ。
眺めているだけでも楽しい。
その中でも、個人的には80歳のジョイスのエレガントな雰囲気がとても好き。
人としては93歳のイロナ(ちょっと見た目が小森のおばちゃま似に見えた^^)の、精力的ながらもゆったりとした生き方が特に好きでしたわ。

小物遣いも各自独特で、共通しているのがお洒落することが大好きでたまらない!というところ。
すっごく生き生きして楽しそうだなーと見ているこちらもうきうきしちゃいました。
そのエネルギーは確かに触発されたかも(笑)。
彼女たちは年齢が年齢だけに、身体的に不自由することもあるし、外見も若い頃と違う。
でも、今できるお洒落は全力でやるし、お洒落したいことに年齢はない。
ファッションもだけど、マイペースに自分を主張する彼女たちはとてもかっこよかったです。

アリのブログ見ていたら日本の皆さんも登場してた(笑)。
淑女だけでなく紳士の皆さんも登場してた。
ファッションに年齢も国境もないんやね。
日本も、年齢を重ねた人達のためのオシャレな雑誌とか本とかあってもいいんでないかと思った熊猫屋でした。
ジョイスの「若く見られるより、魅力的に見られたい」という言葉、とても好きです。
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映画「桃(タオ)さんのしあわせ」(原題「桃姐」2011年・香港&中国)

許鞍華(アン・ホイ)監督のこの作品を今更鑑賞^^;
良い作品とは聞いていたし、許鞍華監督作品はとても好きで何本も観ているにもかかわらず。
個人的に劉徳華(アンディ・ラウ)があまり得意ではないせいもあっかからかしら?(すまぬ^^;;;)

桃姐を演じていた葉德嫻(ディニー・イップ)のことをあまり知らなかったというか、
かろうじて「逃學威龍2」(1992年・陳嘉上(ゴードン・チャン)監督・周星馳(チャウ・シンチー)主演)で星爺の上司でピンクな服も着ていたあの人か?!ということしか思い出せず、
調べたら往年の歌手でもあるし、映画でもこの映画の以前よりいくつか賞を受賞していらっしゃることを知りました。
王晶(バリー・ウォン)監督作品とか、実際観た映画もあるけど脇のためか私の記憶力の悪さもあり^^;
微妙に私の守備範囲からはずした映画もあったり、ソフト化されてなかったりもろもろで観ていないのも多いです。

あーでも「癲佬正傳」(爾冬陞(イー・トンシン)監督・1986年)は観てみたいな。
彼女がしっかり見られそうだし、周潤發(チョウ・ユンファ)とか秦沛(チョン・プイ)や、まだ駆け出しの頃のトニーさんも出演しているみたい。
何より爾冬陞の初監督作品。
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映画プロデューサーのロジャーこと梁羅傑(劉徳華)は、
梁家が四代に渡って家政婦として仕えてきた桃(タオ)さんが脳卒中で倒れてしまったことで、
彼女がいかに自分にとってかけがいのない人だったということに気づく。

桃さんが自分はもうお世話ができないと悟って、介護施設に入所するというと、
彼女のために施設を探すロジャーなのですが、
そのロジャーと施設オーナーの草蜢(黄秋生=アンソニー・ウォン)は旧知の中らしく、
色々と費用を融通してもらえるのですが、
秋生さんが施設オーナーといわれても何か悪い商売に見えてしまうww

桃さんは昔堅気の女性のようで、しかも自分は雇われていた身だったせいか、
何事にも遠慮しがち。
施設ってああいうのが標準なのか分からないけれど、
簡易的な仕切りでもって仕切られているだけで、天井までいってないから部屋の上部は筒抜け。
個室といってもそれほど環境も快適というわけではなさそうなのだが、
桃さんは文句一つ言わない。
むしろロジャーに気を遣わせないように、ほんとしすぎるほど遠慮してしまう。

なかなか施設の住人も年を重ねた故か融通がきかなくなっている人もいたり、
痴呆になりかけていたり、様々な人がいる中で桃さんも人間関係に戸惑いつつ生活を始める。
(中でも強烈なのが、食事中に隣の人がうまく食べられずにこぼしてしまうことにキレイに食えとばかりに噛みつく、
「校長」と呼ばれていたおじいさん<演じている梁天は香港のテレビ創世時代から活躍の往年のテレビ&映画俳優さんです。当時で既に77歳くらいかと(!)>と、
めっちゃ陽気というかウザいほどテンション高め(笑)の秦沛演じる堅叔(日本語字幕ではキンさん)ですかね。
いい人かと思ったら、蛋撻(エッグ・タルト)片手に桃さんから金借りるとかオマエ・・・・^^;)

最初は委縮しがちの桃さんも、ロジャーが頻繁に施設に訪れたり、または外に連れだしてくれたりすることもあり、
少しずつ心境に変化が。
リハビリもがんばって、自分で歩けるようになりました。
ロジャーの母など、親族が桃さんを気遣ってくれるのはもちろんのこと、
ロジャーの同級生の仲間たちも桃さんを慕ってたことから、
お手伝いさんながらも愛されてたのかなぁと。
ロジャーの家にちょっと立ち寄った時には、もう使えなかったり思い出だけで存在する品物も、
まだ残しておいてといったあたり、施設には行ったけれども桃さんの心はまだそこにあったのかしらとも。
(ロジャーの母が言ったけど、賃貸している物件の一室を引退後の桃さん用に用意してあったようで)。

ロジャーの手がけた映画のプレミアに、ロジャーは桃さんを招待するのだけど、
桃さん綺麗にオシャレしてウキウキ。
プレミア会場には実際の映画人の皆さまが本人役で(笑)。
徐克(ツイ・ハーク)、洪金寶(サモ・ハン)、劉偉強(アンドリュー・ラウ)、鄒文懷(レイモンド・チョウ)は置いておいて、
桃さんのおせっかいでタバコを注意されていたのは寧浩という大陸の若手監督みたい。
映画は観たことないけど、大陸の人気歌手・李宇春(クリス・リー)のMVも手掛けたことも→これ
車乗っていかない?とロジャーに言ったゴージャス女優さんは、香港の往年の女優・羅蘭。

ロジャーとの楽しいひとときで心が満たされたに見えた桃さんだったけど、
施設の仲間の死や転院でいなくなっていく無情さも同時に襲ってくる。
桃さん、入れ歯にすることを頑なに嫌がったり、
その後の施設での表情が知らず先を見ているようでちょっと締めつけられる。

ラスト、桃さんが再び脳卒中で倒れてしまい、延命措置しかなくなる
(結局、梁家で用意された家には住めなかったのか・・・・・)
ロジャー・・・・仕事とはいえ桃さんの最期、意識が既にないとはいえ一人置いていくのか?
生死観の違いなのかこの映画のだけなのかそこはちょっと違和感・・・と思ったけど、
施設の一人の男性が漢詩を吟じていたけど、あれは李商隠の漢詩か(元は悲恋だけど)。
あの漢詩で別離を語ってるのだね。

その漢詩の原文

相見時難別亦難 東風無力百花残
春蚕到死絲方盡 蝋炬成灰涙始乾
暁鏡但愁雲鬢改 夜吟應覚月光寒
蓬山此去無多路 青鳥殷勤為探看

桃さんが亡くなって後、あれだけお金を無心していた堅叔(キンさん)が、
お花を持ってお葬式にやってきたのには、
桃さん、よかったねぇ・・・・あなたの優しい心が通じたのかもよとちょっと嬉しかった(と同時に泣けた)。


淡々と進む物語で、シーンによって観る人の受け取り方が違う映画だと思いました。
またそれでも良いと思うし、特に介護のこととか桃さんの扱いとか受け取り手で思うことが違うかなと。

葉德嫻のかなり目で語ってる演技が素晴らしくて、
動きだけでは出ない複雑な感情が内包されたかのような表情演技がこの映画の良さの何割かを担ってるように感じました。
劉徳華も、桃さんに尽くす良い主な役なんだけれども介護生活が長くなるにつれの・・・・
特にラストの再び倒れて運ばれる直前のゴミ箱の場面とか、複雑なところが出ていたし。
許鞍華監督は、繊細な表現がうまい監督さんなので本映画も観た後の余韻が残りました。
個人的には「女人、四十」とか「姨媽的後現代生活」とかこれより好きな映画が4本くらいあるので、5番目くらいかな。